気分の波は誰にでもあります。幸せな感じがする時もあれば悲しい気分の時もあるのは当たり前で病気ではありません。ですが周りの人たちが「どうもいつものあの人とは違う」と気づき、「ちょっとおかしいのでは?」と思えるほど気分の変動が数週間以上も続き、そのために家族や周りの人を困らせたり社会的信用を失わせます。うつ病と名前は似ていますが、全く異なる病気です。
精神的な負荷も影響しますが、発症後に脳の特定部位が萎縮しますので、何らかの脳の炎症が関わっていると思われます。また遺伝的な要素もあるので親族に同じような症状の方がおられるかもしれません。
躁状態とうつ状態の変動は時間単位では無く、短くても数週間以上の振幅が一般的です。最初は数年以上の変動ですが、継続的な治療を行わないと間隔が短くなり、1年で4回交代することもあります。
躁状態の時は病識に乏しく、治療を受けることを拒絶し、社会的なトラブルを引き起こすことが多々あります。難しいですが、敵対関係にならず、支持的な対応に努めてください。また、躁状態の時の暴言は、基本的に病気のせいと受け流す方が望ましいです。青年期発症ですが、認知症の前駆症状として似たような症状がでることもあります。また、抗うつ薬で躁状態になることもありますが、薬の副作用と言うよりは、元々持っていた素因が発現したものと思われます。
治療
- 薬物治療が必要です
- リチウムや抗てんかん薬、抗精神病薬が第1選択になります。
- 中には血中濃度を測定しながら調整する薬もあります。
- 躁うつ病の場合は再燃することも多いので、継続治療が必要です。
- 躁状態は軽減しやすいが、うつ状態は遷延する場合があります。