統合失調症
脳のさまざまな働きをまとめることが難しくなり、幻覚や妄想などの症状が起こる病気です。長い経過をたどりやすいですが、治療法の開発が進んだことにより、多くの患者さんが長期的な回復を期待できるようになっています。
躁うつ病
躁状態とうつ状態を繰り返す病気です。躁状態とうつ状態は両極端な状態で、その極端な状態を数週間かけて行ったり来たりします。気分の波は誰にでもあり、嫌なことがあって落ち込んだり 、楽しいことがあった時にウキウキするのは自然なことです。でも、周りの人たちが「どうもいつものあの人とは違う」と気づき、「ちょっとおかしいのでは?」と思えるほど、その気分が行き過ぎている場合、それによって家族や周りの人が困ったり社会的信用を失うほどであるなら、躁うつ病の可能性があります。
うつ病
この病気は100人に3-7人も罹患し、かつ近年増加していると言われています。個人的な意見ですが、うつ病自体が増えたというよりは、有名な割に疾患概念が曖昧なまま残されており、別の病態が混じるためのようです。例えば躁うつ病のうつ病相や統合失調症の意欲低下、強烈な外部環境によって疲弊して落ち込む状態(適応障害の抑うつ状態)、人柄や発達の問題で社会と上手くつきあえない方も現在の精神医学では「うつ病」と診断されてしまいます。
「ゆううつな気分」や「気持ちが重い」といった抑うつ状態がほぼ一日あって、良いことがあってもなくても長い期間続く、というのが代表的な症状です。加えて過剰な心配や、自分自身を奇妙に卑下する言動も目立つなら、うつ病の可能性があります。
認知症
認知症は、正常であった記憶や思考などの能力が脳の病気や障害の為に低下していく障害です。認知症にはいくつかの種類があり、一番多いのがアルツハイマー型認知症で、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症です。脳梗塞や脳出血などの脳血管障害による血管性認知症や、幻視や精神症状、パーキンソンニズムが目立つレビー小体型認知症など幾つかに分類されています。
年齢とともに記憶などが衰えていくことは、誰もが経験することです。ただ、脳機能の低下によって、買物や家事が出来なくなる、感情をコントロールできず周囲の人を困惑させる、仕事でトラブルになるなど、社会的な問題を引き起こす程度になれば、それは年齢による衰えではなく、認知症と診断されます。
身体症状関連障害
(身体表現性障害・自律神経失調)
頭痛や胸腹部の違和感など、軽度な身体症状は健康であっても絶えずあります。多くは日常の忙しさの中で忘れ去られ、気がつけば症状がなくなっています。ですが、その症状を「大きな病気の前兆ではないか」「癌ではないのか」と不安がったり、過剰に注目をすることで、症状を過大に感じてしまう人がいます。前者を疾病不安障害、後者を身体症状性障害と呼びます。
医学検査で異常がないのに症状が続く場合、「自律神経失調」「ストレスのせい」とされがちです。ですが、健康への不安で頭が一杯になっているなら、この病気かも知れません。
パニック障害
パニック障害とは突然に制御不可能な不安感(パニック発作)に襲われ、ついで同じ発作が再び起こらないかを過度に警戒(予期不安)が出現する病気です。かつてはストレスのせいとされていましたが、現在は脳の機能異常が主因と考えられています。
火事や事故などの危機的な状況で、鼓動が早くなり、血の気が引いて物事を冷静に考えられない、胃の中の物を吐いてしまうことがあります。これらパニック状態は危機回避のために生物が自然に持つ仕組みです。
ですが、危機的状況でもないのに、突然パニック状態に陥ることがあります。医学的精査で異常はないのに、この発作が繰り返して襲われると、次いで「また発作がでないだろうか」という不安が出現します。発作を起こしそうな環境(例えば電車やエレベーターなど)を過剰に避けるようになります。ストレスと関係なく、パニック発作に襲われるなら、この病気かもしれません。
強迫性障害
「ドアに鍵をかけたかな?」「鍋を火にかけたままかも」と不安になって家に戻ったという経験は多くの人がしていることでしょう。また、ラッキーナンバーなどの縁起にこだわることもよくあることです。
ですが、その不安やこだわりが度を超し、戸締まりや火の元を何度も何度もしつこく確認しても安心できなかったり、特定の数字にこだわるあまり生活が不便になったりする場合があります。自分でも過剰な不安に振り回されていると感じられるなら、それは強迫性障害かもしれません。
社会不安障害
人前に立ったときの緊張・あがりは誰にも経験があると思います。ですが、この不安な気持ちが著しく大きな方がいます。一刻も早く立ち去りたい衝動や恐怖感に強く苛まれ授業や会議に出られない。出ても苦痛が著しい場合、社会不安障害かもしれません。
適応障害
新たな環境に慣れることが出来ず、疲弊してしまうことがあります。多くは自分なりに克服していくのですが、時には不安や苛立ち、意欲低下など様々な精神症状を伴い、社会生活に支障をきたすこともあります。
俗に言うストレス負けの状態ですが、うつ病のように抑うつが持続することはなく、好都合なことがあったり休息することで短期間で改善します。外部の環境によって疲れ果てている状況なら、適応障害かもしれません。
不眠症
睡眠が上手くできず、日常生活に支障をきたす病態です。
睡眠は①安心②疲れ③夜の3つの要因で調節されています。不安や苛立ちを取り除き、日中の活動性を上げることが重要になってきます。夜になると眠くなる機構は人間という生物に備わっている特徴ですが、40-50代になると上手く機能しなくなり、不眠がちの人が増えてきます。60代で約1/3が不眠を感じていると言われています。